十条銀座商店街賑わう埼京線【十条】エリアでは、
実はその周辺に数多くの街づくり・再開発の計画があります。
駅前再開発で40階建てのタワーマンションが建築される予定のほか、
道路の幅が広げられる都市計画道路が4路線、街づくりの地区計画などが9街区、
さらには埼京線の立体交差化(1.5km間)により6つの踏切がなくなる計画があります。
都内において1つの駅の周辺でこれだけ数多くの開発の計画がある場所は珍しく、
全てが整った暁には街並みや生活利便性の劇的な向上が見込まれます。
本ブログでは、そんな【十条】エリアの再開発情報をご紹介いたします。
計画全体図
まずは駅前再開発の目玉で十条駅のシンボルタワーとなる、
40階建てのタワーマンションの計画をご紹介します。
十条駅西口地区第一種市街地再開発事業
十条駅西口の改札を出て、目の前に広がる街区に位置しており、
面積は1.7ha(おおよそ東京ドームの三分の一)ほどです。
下層部には駅前広場とつながるオープンスペースが確保され、
駅前広場に面し商業施設や地域生活を支える公共施設が整備されます。
上層部には住居用のタワーマンションが分譲されます。
少なくとも6,000万円~の価格帯がメインになることが予想されるので、
高所得層の購入者が地域経済を潤し、さらに魅力的な店舗が誘致されることで、
街全体を活性化させることが考えられます。
また、十条銀座商店街との動線がタワーマンションならではの、
外景デザインで魅力的なアプローチに整備されることで、
明るく開かれた街としてイメージが一層向上することが見込まれます。
建築計画の概要
【計画概要】
地域名称 | 十条駅西口地区 |
施行地区 | 東京都北区上十条一丁目及び上十条二丁目各地内 |
事業名称 | 十条駅西口地区第一種市街地再開発事業 |
施行者名称 | 十条駅西口地区市街地再開発組合(予定) |
交通 | JR 埼京線「十条」駅徒歩 1 分 |
区域面積 | 約 1.7ha |
【施設概要】
敷地面積 | 約 7,070 ㎡ |
建築面積 | 約 4,740 ㎡ |
延床面積 | 約 79,460 ㎡ |
構造・規模 | 地上 40 階、地下 2 階、鉄筋コンクリート造・鉄骨造 |
住宅戸数 | 約 540 戸 |
高さ | 約 147m |
主要用途 | 共同住宅、商業、業務、駐車場 |
公共施設等 | 駅前広場、都市計画道路、公共駐輪場等 |
参加組合員 | 新日鉄興和不動産株式会社、東急不動産株式会社 |
事業協力者 事業コンサルタント |
前田建設工業株式会社 株式会社日本設計 |
【スケジュール】
2005 年 10 月 十条地区まちづくり基本構想策定
2007 年 8 月 準備組合設立
2008 年 3 月 事業協力者に当社が選定される
2012 年 10 月 都市計画決定告示(第一種市街地再開発事業の決定)
2017 年 5 月 組合設立認可
2018 年 6 月 施設建築物工事着手(予定)
2022 年 7 月 工事完了公告(予定)
十条駅のシンボルタワーを中心として、
周辺には都市計画道路により道路の幅員が広げる計画があります。
新たに広々とした道路が造られることで開放的な街並みとなり、
防災機能・交通利便性の向上が見込まれる3つの計画をご紹介します。
【東京都施行】補助73号線-幅員20~30m-
補助第73号線は、新宿区西新宿七丁目から北区赤羽台三丁目までを結ぶ、
延長約11キロメートルの都市計画道路です。
十条エリアでは大まかに2つの区間に分かれており、
上十条二丁目地内の延長335メートルの区間と、
上十条二丁目から十条仲原二丁目までの延長560メートルの区間となります。
具体的な位置関係としては、
十条銀座商店街から西側に100mほど進んだ辺りの街区になります。
新たに広がる幅員は主に20mが予定されており、
2車線の道路と自転車用道路・歩道を含めた、
ゆったりとした道が造られる計画となっております。
※計画断面図は確定したものではありません。
参考までに豊島区西池袋で同様の幅員20mで、
完成済みの都市計画道路の写真を見てみると・・・
植栽が植えられて整然として気持ちの良い道路に仕上がっております。
補助73号線の概要
補助73号線は、平成25年度から測量作業、平成26年度からは用地測量に取り組み、
平成27年には土地建物権利者を対象とした説明会が開催されているようです。
用地買取事業に着手してからまだ数年しか経過しておりませんので、
完成まで今後数十年の時間を費やすことが想定されるのではないでしょうか。
【東京都施行】補助83号線-幅員20~30m-
補助83号線は、北区滝野川二丁目から北区赤羽西三丁目に至る
延長約2.6キロメートルの都市計画道路です。
おおよその配置としては、
十条駅と東十条駅との間の辺りに位置しています。
この道を通ったことのある方ならよくご存知の通り、
今現在は道路幅員に対して交通量と人通りが多く直感的にも危ないな、
と感じられる道路になります。
新たに広がる幅員は補助73号線と同様に主に20m~30mが予定されております。
※計画断面図の構成は確定したものではありません。
補助83号線の概要
補助83号線は平成21年8月に東京都が事業認可を取得し、
物件調査や用地取得を進めています。
十条台小学校付近から荒川小学校付近までの約610m、1期区間(全体図の赤色部分)の
用地取得率は面積ベースで約96%を超えており、平成31年の完成を予定しているようです。
また、環状7号線までの残り410mの2期区間についても、
今後の道路整備を見据えた買取が進められており一部解体工事が始まっております。
【北区施行】補助87号線-幅員18m-
補助第87号線は、上十条3丁目の補助第85号線と板橋区仲宿の中山道(放9)を結ぶ
補助線街路として、計画されました。
全長は990m幅員は18メートルで、
地域の道路ネットワークを構成する上で骨格となる路線です。
補助87号線の概要
平成28年に用地買収契約が全区間で完了したため、
今後既存家屋の撤去後に道路整備に向けた関連工事を実施の予定です。
今後の予定としては、平成29年度に電線共同溝・道路詳細設計、
電線共同溝とは電線地中化のことです。
平成31年度に下水道工事など、電線共同溝本体工事、
平成33年度に道路工事の予定となっています。板橋区の道路工事も同年度に完了予定です。
※補助87号線 板橋区加賀 現地写真
【東京都施行】補助85号線-幅員30m-
補助85号線は、北区豊島二丁目から同区赤羽三丁目に至る
延長6kmの都市計画道路です。
このうち北区上十条一丁目から上十条三丁目までの区間は、
後述のJR埼京線十条駅付近の連続立体交差化計画に合わせて、
補助85号線の整備が予定されています。
幅員は30mが予定されております。
計画断面図によると車道より歩道の方が広めに確保されており、
駅前であることから歩行者を優先した計画であることが読み解けます。
※計画断面図の詳細については、協議により変更の可能性があるとのことです。
JR埼京線と補助73号線が交差する箇所では、
線路が道路の上部を走るイメージで計画されております。
補助85号線の概要
路線名 | 区間 | 延長(m) |
補助第85号線 | 補助73~JR埼京線付近 | 170 |
本路線は東京都より優先整備路線と位置付けられており、
協議・説明会の後に都市計画決定の告示がされ、
その後、事業決定がされる見込みです。
まだまだ計画段階で、完成は数十年先になりそうです。
【東京都施行】埼京線十条駅付近の連続立体交差化
十条駅付近にはいわゆる”開かずの踏切”が数か所あります。
ピーク時には39分交通が遮断されてしまうという調査結果も出ています。
今回は問題視がされていた踏切6箇所を改善するための工事を予定しているようです。
そもそも連続立体交差工事とはどのようなものでしょうか?
国土交通省のHPでは以下のように記されています。
連続立体交差事業は、都市部における道路整備の一環として、道路と鉄道との交差部において、鉄道を高架化または地下化することによって、多数の踏切を一挙に除却し、踏切渋滞、事故を解消するなど都市交通を円滑化するとともに、鉄道により分断された市街地の一体化を促進する事業です。
連続立体交差事業は、地方公共団体が都市計画事業として実施しており、高架化に伴う受益分の負担を鉄道事業者より受け、事業を行っているところであり、「都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する要綱」、「都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する細目要綱」に基づき実施されます。
十条付近の計画でいうならば、主に高架式で予定されています。
車道の渋滞解消や歩行者の安全性が向上に加えて、
整備によって街並みもきれいになるといった、いいとこづくめの計画です。
交通の面で分断されていた街がひとつに繋がる計画、
といっても過言ではないでしょうか。
連続立体交差化の概要
区 間 | 十条駅付近(板橋1丁目~赤羽南2丁目) |
延 長 | 約3.0km(事業区間約1.5m) |
事業費 | 340億円 |
構造形式 | 高架式(嵩上式)及び地表式 |
交差道路 | 補助85号線(現況18m→30m) |
駅施設 | 十条駅ホーム延長:約210m ホーム幅員3~7m |
埼京線付属街路(側道)
路線名 | 延長 | 幅員 |
第1号線 | 約40m | 11 m |
第2号線 | 約170m | 10 m |
第3号線 | 約210m | 13.5m |
第4号線 | 約160m | 8.5m |
第5号線 | 約120m | 6 m |
第6号線 | 約180m | 6 m |
立体化により除去される踏切(6か所)
踏切道の名称 | 道 路 名 称 | 踏切道の現況幅員 | 備 考 |
原 町 | 北区道1007号 | 2.8m | |
十 条 道 | 都道本郷赤羽線 | 18.0m | 補助85号線 |
仲 道 | 北区道1010号 | 4.0m | |
富 士 道 | 北区道1365号 | 11.3m | |
仲 原 | 北区道1014号 | 7.1m | |
北 中 原 | 北区道1424号 | 1.4m | 歩行者、自転車のみ通行可 |
本計画も補助85号線と同じように協議を重ねて、
事業認可に向かって進んでおります。
以上だけでもお腹がいっぱいになりそうですが、
都市計画道路に付随して一定の街区に街づくり計画があります。
十条周辺の街づくり・建築規制
大きく分けると”地区計画”と”住宅市街地総合整備事業”の2つが、
街づくりの計画に該当します。
前者は、建物の利用するときの用途を制限・道路から建物までの壁面後退の距離を制限・
敷地の最低面積を65㎡とするなど、新築する建物への規制を強めることで、
より良い街を創っていくというイメージです。
後者は指定された主要道路を4mから6mに拡幅・防災公園の新設。
そして古い建築物を燃えにくい耐火建築物に建て替えるときの助成など、
建て替えが促進してより防災に強い街に生まれ変わらせるための
カンフル剤のようなイメージです。
十条駅の周辺はおおむね全ての街区が、
いずれかの街づくりの地域に指定されています。
※計画の一部 十条駅東口地区
行政と地域住民の方の協議の元に進められている、十条周辺の街づくり計画。
全てが整った数十年後の未来はどのような街に進化を遂げているのでしょうか。
不動産業に携わる身として、将来が楽しみな東京の街のひとつです。